地理

ヴェネチアの地理

イタリアの地方行政区分では20州存在し、110県に分かれます。そして各県にコムーネ(地方自治体)があります。ヴェネチア市の市役所、ヴェネチア県の県庁、ヴェネト州の州政府は全てヴェネチアの島内にあります。部署によってはイタリア本土側にも存在します。

ヴェネチアの島への移動

ヴェネチアの島とイタリア本土は、3.850 メートルの『リベルタ橋』でつながっています。列車でヴェネチアに到着する場合には、イタリア本土側の「ヴェネチア メストレ駅(Venezia Mestre)」の後、この橋を通過して「ヴェネチア サンタルチア駅(Venezia Santa Lucia」に到着します。公共のバス、タクシーや専用車でヴェネチアの島に到着する場合は、この橋を通過して、バスターミナル「ローマ広場(Piazzale Roma)」に到着します。

『リベルタ橋』は1841年に建て始め、1933年に完成しました。1841年当初は、鉄橋として建て始められ、1846年にミラノとヴェネチア間の列車が開通し、その後、道路が追加され、1933年に現在の橋に完成しました。

空港からは公共のバス、タクシー、専用車で、ローマ広場に到着する方法と、公共の水上バス、もしくはチャーターした水上タクシーで直接ヴェネチアの島に移動する方法があります。

ヴェネチアの島の基盤

湿地帯の潟地帯に建造されたヴェネチアの島の基盤は、建物を建てる場所に直系20cm、2~5mの木 (カラマツまたはニレの木) の杭を真っ黒に焦がして、柔らかいカラントと言う粘土層の地下10メートルほどの深さまで隙間なく打ちこんで固定してあります。更に木の厚版を何層にも重ね、その上に海水に強いイストリア産(旧ユーゴスラビア)の石材をセメントで何層にも重ね、高潮の海面よりも高い位置まで積んで基盤をつくりました。イストリア産の石材は耐久性に優れており、腐食することなく建物の重さに耐えることができました。こうして、ヴェネチアの島は水中から直接建ち上がっており、まるで海の上に浮かんでいるような建築を実現させました。完全に水に浸かった木の杭の部分は、時間の経過とともに鉱物化し、腐るどころか、ますます耐性を増しているそうです。こうして建てられたヴェネチアの島の基盤は地中森林であり、島を逆さにしたら森になり、ヴェネチアはまさしく『海の埋立都市』であり、大地震が起きても液状化リスクはないと言われています。

サン・マルコ寺院とリアルト橋は非常に重量がかかっているそうです。サン・マルコ寺はガラスのモザイクと建物の石の重量の影響で地面が凸凹にゆがんでいます。一方、リアルト橋は重量を支えるために11,000本の杭が打ち込まれました。。

街の中心を流れる大運河から、小さな運河がまるで毛細血管のように広がっており、これはもともと潟にあった自然の水路をそのまま掘り下げて「運河」にしたからであり、引き潮(干潮)、満ち潮(満潮)によって絶えず潟は浄化され、海水が流動することで生態系を保っています。

大運河の半分は自然の流れで、本土からの川が多く流れ込んできています。1つの大きな流れが大運河で、人工的に少し整備しながら、半分は自然の流れとなっており、逆S字型に流れています。島内どこからでも数分歩くと船着場に行けるようになっています。これは全て、島を人工的に築いたヴェネチア共和国時代の優秀な官僚たちの都市計画によるものなのです。

ヴェネチアの島 6つの地区(セスティエーレ)

ヴェネチアの島は6つの地区に別れ、116の島が密集して存在しており、そうした島々が416の橋で結ばれています。その多くは、19世紀に造り加えられたもので、全ての橋が太鼓橋なのは、水面と陸上の差が少ない為なのです。島は路地と広場、建物が176の水路の網で形成されています。こうした水路は人工的に造られたものが多く存在しています。これらの水路は、昔また今日も同様に、船で物資を運送する為に必要に迫られて造られました。現在、世界でも唯一の水の都と呼ばれる由来になった独特の景観が特徴的なヴェネチアの島は、美的景観から意図的に建造された素晴らしい建築物もありますが、島の建造に関しては美的景観にこだわったのではなく、ある意味生活していく上で、必要に迫られて建造されたわけです。

ヴェネチアには車が走る道路は存在しません。交通手段をつかっての移動は船で運河を移動し、それ以外は徒歩のみとなります。迷路のように入り組んだ細い路地に迷いながら、ゴンドラや船の生活を経験し、街中の店頭に並ぶヴェネチアならではの色鮮やかなガラスや仮面を眺めながら、幻想的なヴェネチア独特の散策をお楽しみください。

カンナレージョ(Cannaregio):葦が生い茂る湿地帯で発展したことに起因する名前

カステッロ(Castello):今はなき要塞を中心に発展したことに起因する名前

ドルソドゥーロ(Dorsoduro):この地域の小さな砂丘を思い起こすことに起因する名前

サン・マルコ(San Marco):同名のヴェネチア守護聖人マルコに由来する名前

サン・ポーロ(San Polo):サン・ポーロ教会にちなんだ名前(リアルト橋がある地区)

サンタ・クローチェ(Santa Croce):サンタ・クローチェ教会にちなんだ名前

ヴェネチア ラグーンの島々

サン・マルコ広場正面に浮かぶように存在する美しいサン・ジョルジョ・マッジョーレ島、ガラスで有名なムラノ島、レースで有名なブラノ島、ヴェネチア人の歴史的に重要なトルチェッロ島、ヴェネチア映画祭開催で有名なリド島など、ヴェネチアの島の周辺には62の島が存在します。