食文化

ヴェネチアの食文化

徒歩移動が多いヴェネチアの街では、気軽にひと休みできるカフェ、バール、パスティッチェリア(お菓子屋)は足を休めるに最適な場所です。バカロ(ヴェネチア風居酒屋)で、ヴェネチアならではのチケッティ(おつまみ)をつまみながら、食前酒をいかがでしょうか。

カフェ "Caffè"

ヴェネチアの歴史を感じさせる老舗のカフェでコーヒーのひとときはいかがですか。

ヴェネチアは国際貿易都市であったことも影響し、コーヒーがいち早く輸入された歴史があります。最初のカフェはサン・マルコ広場に1683年にオープンし、ルコ広場に最初の珈琲豆店がオープンし、1763年にはヴェネツィア全体で218のカフェが存在し、カフェだけでなく、タバコの喫煙、イタリア風ココア「チョコラータ」を楽しむ場にもなったそうです。1775年にはサン・マルコ広場には24のカフェが存在したそうです。

このようにヨーロッパでも最も早くカフェ文化が花開き、今でも歴史的なカフェが残っています。当時は上流社会の社交場だったカフェ。当時の面影を残す内装やカメリエーレ(ウェイター)の正装コスチュームに、ヴェネチアらしいカフェの歴史を感じることができます。歴史的なカフェの代表は、サン・マルコ広場に集中してあります。最古のカフェ・フロリアンから、カフェ・クワードリ、カフェ・ラヴェンナなどがあります。春から夏にかけては店先で生のミニオーケストラの演奏が行われ、サン・マルコ寺院や広場を眺めながら、テラス席で演奏を楽しめます。

カフェ・フローリアン 『Caffè Florian』

1720年創業、ワーグナーやプルーストなどの文化人や芸術家たちも足しげく訪れたという老舗です。当時の豪華な内装がそのまま残った室内席など、どこに座っても美しいひと時が過ごせます。カーニバル時期は、貴族風衣装で着飾った人たちが席を埋め、昔にタイムスリップしたような風景になります。

バール "Bar"

ヴェネチアならではのトラメッジーニとパニーニをいかがですか。

イタリア全土にどこにもあるバールですが、各土地の特色が感じられます。バールでは、通常コーヒーからサンドイッチ、パニーニ、クロワッサン、ケーキ、更にワインや食前酒などもあつかっています。朝ならクロワッサンを、お昼はトラメッジーニやパニーニを、おやつならケーキやクッキーとカフェ、夕方な食前酒やワインとおつまみなど、さまざまな用途で立ち寄れます。

ヴェネチアならではの「トラメッジーニ」と呼ばれるサンドイッチを是非お勧めします。種類が豊富で、柔らかい食パンにハム類、チーズ、卵、サラダ、野菜などさまざまな具をはさんだサンドイッチです。日本の三角型サンドイッチに似ていますが、中の具がボリューミーなのが異なった点です。食べるのが難しいくらい山のように盛り上がったトラメッジーニもあります。ヴェネチア人の大好物なので、バール側も期待に応えるべく、お昼前には店頭にズラッと並んでいま す。ヴェネチア人に人気バールでトラメッジーノを味わってみてはいかがでしょうか。

パスティッチェリア 〈Pasticeria〉 

ヴェネチアのパスティッチェリアでご自慢のケーキやクッキーはいかがですか。

ヴェネチアのお菓子はミニケーキが多く、チョコレート系、フルーツ系、シュウクリーム系、ムース系など沢山の種類があります。イタリアのお菓子にしては甘さ控えです。それ故、甘いものに目がない人は2個ぐらい軽く食べれます。また、ヴェネチアならではのいいろいろな種類のクッキーも種類あります。おススメは大昔にブラノ島で復活祭のお菓子として作り始められた「ブッソラ Bussolà」とヴェネチアの大運河のS字型をイメージした伝統的なクッキー「エッセ Esse」です。卵黄をたくさん使ってつくられるので、ちょっと黄色がかって、素朴な味わいで、歯ごたえの良いクッキーです。「ヴェネチア版鳩サブレ」と言った感じです。冬でしたら、カーニバル中のお菓子として有名な「フリッテレ Frittere」です。直径5cm位のボール型をしたドーナツで、数種類あります。時期的には1月から3月頃のみ食べられます。

バーカロ 〈Bacaro〉 

ヴェネチアならではの居酒屋バカロでアペリティーボ(食前酒)やワインとチケッティ(おつまみ)はいかがですか。

夕方になると、食前酒の時間とばかりに、立ち飲みする人でバカロやバールがにぎわっています。これはイタリアのどの都市でもみられる光景です。軽いアルコール類にちょっとしたおつまみを食べながら、夕食前のほんのひとときを楽しく過ごすラテン国らしい習慣です。ディナー前に地元人に混じってバカロでアペリティーボをいかがですか?夏は最高で22時頃まで日が落ちない時期もあります。それ故、遅くまで数杯のアペリティーボを立ち飲みしながら楽しむ人たちで、どこのバカロもにぎわっています。

バカロは基本的にはカウンターで、チケッティをつまみながら、ワインを立ち飲みする場所ですが、テーブル席があるバカロもあります。最近では、カウンターで立ち飲みするスペースがなくなり、テーブル席で座ってチケッティとワインを、さらには、ヴェネチアならではの魚介中心にした前菜からパスタやメイン料理を味わえるバカロもあります。