2014年 精神医療施設視察

3月は、昨年同行した精神医療の視察で知り合った精神科医からの直接の依頼で企画した精神医療の視察でローマ、ナポリ、カターニャを訪問しました。各地の精神医療公的施設と民間施設の訪問から、各施設の精神科医達との対談、また患者との対談など、幅広く、大変興味深い視察を企画しました。世界でも稀な精神病院を排除したイタリアの精神医療の施設や管理・運営など、ご希望の視点にあわせて視察を企画しました。イタリアの南北経済格差は有名で、更に約150年前まで別々の国に分割していたイタリアは、今でも昔の国の言語を日本の方言的に話し、文化、習慣、生活リズムなども別々の国に分かれていた影響が色濃く残っています。そんな中で、一般的に南北イタリア人の気質もざっくりと、北イタリア人は働き者、几帳面、厳格な一方で冷たい。南イタリア人は前記した北イタリア人の気質の全く逆。無論、人にもよりますから一概には言えませんが、仕事で南北に滞在した経験をもつ私としてはこの描写は正論だと思います。そうした中で、精神医療の職場でも、この現状は同様です。そうした中で、今回の南イタリアを中心にした精神医療の視察は、過去に触れてきた北イタリアの視察よりも、寛大、寛容な視察を行え、医師から関連施設で仕事する皆さんの対応も同様に大層なもてなしを受けました。皆さんには圧倒され、感謝の気持ちでいっぱいです。特にシチリアのカターニャは、どこよりも、もてなしに磨きがかかっていました。視察の関わっていただいた各施設の精神保健局長、精神科医の皆さんの寛大な協力のおかげで、大変奥の深い、盛り沢山の視察となりました。今度、別のブログで精神医療の視察特集を書こうと思っています。視察終了後、各施設から受け取った莫大な資料の翻訳に1ヶ月追われました。 5月は医療に関する生活協同組合の視察で、トレントに滞在しました。北東部に位置するトレントはトレンティーノ=アルト・アディジェ自治州の州都で、イタリアに5つある特別自治州のひとつです。
歴史的にティロル地方と呼ばれた地域の一部で、長らく神聖ローマ帝国の支配下にあり、第一次世界大戦まではオーストリア=ハンガリー帝国の領土であった故、ドイツ語を母語とするドイツ系の住民も多く、ボルツァーノ自治県ではイタリア語に加えてドイツ語も公用語となっています。

県名は、トレントを中心とする地域名「トレンティーノ」(トレント自治県)と、アディジェ川上流を意味する地域名「アルト・アディジェ」(ボルツァーノ自治県)をつなげた名称になって州所属の2つの県に対応しています。上記した歴史と土地柄から、イタリアと言うより、どちらかと言うと北ヨーロッパ系気質の勤勉、几帳面、正確さが備わっている人が多く、街もどちらかと言うとオーストリア的な印象を受けます。

今回は日本の医療関連の生活協同組合の医師の方々に同行しました。15世紀に世界で初めての協同組合がスコットランドで設立されました。そして19世紀中旬に最初の近代的な協同組合がイギリスのマンチェスターの郊外で設立され、その後1895年イギリスのロンドンで国際協同組合同盟が設立されました。現在本部はスイスにあり、94カ国の254団体が加盟し、傘下の協同組合の総組合員人数が10億人を超える世界最大の組織となっています。その中でも、近年のイタリアの経済不況にもかかわらず、世界的レベルでみても、現在イタリアの協同組合は成功を表示する一つの国とされています。そこで視察団の皆様はトレント大学の教授に勧められて、トレント周辺の協同組合に関する施設の視察にいらっしゃていました。自由時間があったので、個人的な観光も行いました。清楚で、清潔感があり、綺麗な街でした。その中でもブオンコンシーリョ城は建築、展示内容、場内に残るフレスコ画は大変素晴らしかったです。また街の中心にあるDuomoとその広場も奇麗でした。

8月は仕事でヴェネチア以外の仕事も多く、ミラノ、ヴェローナ、フィレンツェなどに滞在。再び、精神医療施設の視察を企画しました。今回は刑務所精神保健局、依存局、老年精神医療施設、精神合併症専門施設の視察企画も加わりました。 今回の視察は北イタリアを中心に、トリノとミラノの視察を行うことになりました。トリノでは刑務所内に精神保健局と依存症局が特別に設置されており、その施設の視察を行いました。イタリアでもトリノとミラノしか存在しないと言う特殊な刑務所施設内の視察訪問となりました。ミラノではイタリア精神医療界で精神科医委員会長、その周辺の精神科医達と会談し、老年精神医学精神科医、依存症専門の大学教授などとも会談を行い、彼らの協力で様々な施設を訪問し、有効な視察を企画することになりました。

9月に私が企画した精神医療施設、老年医療施設、刑務所視察のコーディネートから、通訳を行いました。
トリノ、ミラノでイタリア精神医療界の重要な精神科医達と面会し、様々な方面からの奥深い視察となりました。

ミラノの精神医療施設で精神科医の方々と社会協同組合の関連者とディスカッション行い、施設の視察を行いました。
た、依存症関連施設、老年精神医療施設も訪問しました。トリノでは刑務所を視察しました。イタリアでトリノの刑務所とミラノの一つの刑務所2カ所しか存在しない、確立された組織化された刑務所内の精神保健科と依存症科を訪問しました。 この視察以外にも、異なった社会協同組合、老年精神医療施設、老人ホームの視察を行いました。

今年は視察の仕事の多い一年でした。10月、11月は食料品分野の会社訪問や施設視察を行いました。
また協同組合や生協など、組合関連の視察も数回ありました。

食の州で有名なエミリア・ロマーニャ州を中心に数回視察を行いました。エミリア・ロマーニャ州と言えば、パルマの生ハム、パルミジャーノチーズ、クラテッロ、サラミ類など、モデナのバルサミコ酢の産地として有名です。その他、パスタボロネーゼやラザーニャの発祥地で有名なボローニャは、卵黄を豊富につかった手打ち麺タリアテッレやラビオリのように詰物をしたトルテリーニなどでも有名です。

食品分野の視察では、イタリアでパスタと菓子会社として有名な『Barilla』社を訪問しました。両分野の製造所を訪問しました。優れたエンジニアと新技術を重要視する一方で、エコロジー対策に何よりも重要性をおく方針に感心させられました。1877年にパルマで創業したイタリア大手の食品会社を訪問しました。日本では日本製粉がライセンス契約を結んで『バリラ』ブランドの商品を発売しています。過去10年で、日本のイタリア料理がかなり浸透して、輸入量が相当増加したそうです。『Mulino Bianco』『Pavesi』『Voiello』『Wasa』等のブランドが配下にあり、異なったタイプのパスタを生産し、加熱食品、調理済食品で、イタリア国内でシェア1位だそうです。

ロング・パスタの成形には「テフロンダイス」を使用して、パスタの表面はつるつるしているのが特徴だそうです。
「テフロンダイス」とは?パスタは「ダイス」という沢山の穴の開いた型を通り抜けることでいろいろな形にできあがります。このダイスにはブロンズ製とテフロン製があります。伝統的なブロンズダイスだとパスタの表面に細かいオウトツができてしまい、ざらついた仕上がりになってしまうそうです。一方で、テフロンダイスは表面がつるりとなめらかに仕上がります。日本ではこの「ダイス」で作られたパスタが一般的だそうです。

市民の3分の2が協同組合の組合員という土地柄のボローニャをはじめ、エミリア・ロマーニャ州は、各種の協同組合の非常に発展した地域で、農業、住宅、製造業、社会的サービスの分野で特に盛んです。この地域にはLegacoop、Confcooperative、AGCIという3つの協同組合の連合会があります。そこで食の分野としては、イタリア全土に存在するCoop(日本で言う生協)スーパーを視察しました。その中でも大型のIpercoopを視察しました。ディレクターの方が案内してくれました。エミリア・ロマーニャ州だけあって地元ならではの生ハム、クラテッロ、サラミ類、パルミジャーノチーズ、ワインの揃いも、かなりのものでした。

11月にはシチリアのアグリジェントで老年精神医学の会議に行きました。元々は日本の老年精神医療専門の精神科医に同行して会議に参加する予定でしたが、その精神科医が欠席となり、知り合いのシチリアの精神科医に同行して会議に参加することになりました。老年精神医療がテーマでしたが、全体的にアルツハイマーが主要な課題となり発表が行われていました。その発表者の中に日本の「引きこもり」を専門にした精神科医がおり、大変興味深い出会いとなりました。日本の引きこもり専門の精神科医を招待して「引きこもり」を課題にした会議を将来的に行うことを話し合う機会となりました。