生活

ヴェネチアの島だけの人口は約6万人です。他の島々も含めたら約6万9千人です。年間の観光客の訪問数が2万4千万人です。夏のクルーズ船のシーズン中でしたら、クルーズ船客だけで1日で約3万人近い人がヴェネチアに下船し、更に観光バス、列車、車などその他の交通手段で到着する人が約1万5千人と記録した日がありました。と言うことは、ヴェネチアの人口の3分の2以上の観光客が一日でヴェネチアの島を占領するわけです。それも中心地となるサン・マルコ広場やリアルト橋付近に集中するわけです。町の中心地はもちろんですがその他の地区から他の島々も観光客でにぎわいます。また人混みを避けて裏の細い路地を歩けども、観光客で路はふさがれてしまいます。

観光シーズン中は、唯一の公共の交通手段である水上バス「ヴァポレット」など、満員電車並みで一本見逃さないと乗船できないあり様です。通勤中の人がこうした状況を避けるために30分位徒歩で仕事場まで通うと言うのは日常的な光景です。基本的にヴェネチア人は幼い時から歩きで生活することに慣れています。ですから都市の 電車、車で移動している人々に比べたら、ヴェエチア人は「徒歩」が当たり前の移動手段なのです。

こうしたテーマパークになりつつある世界の観光都市を象徴するような生活がある一方で、庶民的な地区や広場に行くと、地元の暮らしぶりを感じることもできます。朝から街は動き始めます。通勤前に幾つもの橋をわたりながらマラソンをする人、眠い顔をした通学中の子供を保育園、幼稚園、小学校に連れていく親たちの姿、運河には本土から運ばれてきた物資の荷物を運ぶ船が行き交い、その荷物をリヤカーで運ぶ若い男性諸君、縞シャツ着たゴンドリエーリ達が商売道具のゴンドラのメンテナンスをしている姿などを見かけるのはヴェネチアならではの光景です。ヴェネチアの広場では、カフェやバールなどがあり、コーヒーから食前酒、ワインなどを飲みながらおしゃべりに没頭する人々から、立ち話している人々の姿もよく目立ちます。午後から夕方にかけては、幼稚園や小学校が終わった後、広場で遊ぶ子供たちに混ざって、青空社交場とばかりに、迎えにきた親たちがおしゃべりしている光景も非常に日常的です。母親が大半ですが、両親で迎えに来ている場合もありますし、中には仕事柄父親が送り迎えをするというのは何も珍しいことではありません。

面積5km²ヴェネチアと言う島の中で生活していると、いわゆる村の生活のようなものです。毎日歩いていると必ず誰かに会います。近所の人のみならず、仕事関連者から、昔のクラスメート、しばらく音信不通だった友人にばったり会ってしまうわけです。そして友人や知り合いが、仕事関係者であったり、知り合い、友人関係で あったり、親類関係であったりなど必ずどこかでつながっているのです。それ故、うわさなんて当然のごとく容易く飛び交い、好奇心の強い、おしゃべり好きのイタリア人達ですから・・・ご想像はつくかと思います(笑)。

ヴェネチアは生活物資のみならず、不動産の物価も 高い為、常に若い人は本土側に移り住む人も多く、結婚や同棲などした若いカップルの人口が減少しています。それと共に少子化高齢化も進んでいますから、ヴェネチアの人口の平均年齢は上がり、幼稚園、小学校なども減少しています。これだけ街が観光客にむけて、テーマパーク化して、物価も高騰する一方で、住 んでいても楽しめる施設も減り、ヴェネチアの島に住んでいるメリットは年々少なくなり、それ故人口が減少し、最近では賃貸も住民よりも、観光客に貸すア パートが増加して行く一方です。商店やレストランなども家賃が高くて数カ月ごとに変わっています。一方で変わらないのは、何世紀たっても建物や島の景観と 商売重視の商人気質のヴェネチア人達です。